易経を読むブログ

易占目的の ブログ ですが「易経を読む」と謳っているのは、易占に易経は不可欠であるという考えからです。「有料記事」は知っておくべき六十四卦の見方や占例を記してみました。無断転載禁止。

易者の勘

武隈天命先生の易書には、
実占家にしか書けない文章があって、
勉強になります。

たとえば、
次のような占例です。

相談者は27歳の女性で「私の運勢を占ってください」
という内容でした。
因みにこの女性は、親御さんの勧めで今年の4月から
歯科衛生士の学校に通われているそうです。
  沢天夬 九四 
沢天夬は『すでに決定している』という卦でして、
この卦を得ているということは
『本人はもう(辞めることを)決定している』のであって、
易者のアドバイスを訊きに来られているのではなく、
同意を求めておられるのです。
つまりこの占では『学校を辞めるか辞めないか』は
すでに御本人の中で決まっていますので、
『辞めた後はどうすればよいか(どんな職に就いたらよいか)』
という点をフォローしてあげなければ、
易者としてお金を頂く訳には行かないのです。
(『易占の要諦』)

柳下先生も云っているように、確かに
「運勢をみてください」という問占者には
注意が必要です。

お客さんは、
易占には詳しくありませんから、
運勢さえよければ、
学校を辞めても、
会社を辞めても、
夫と離婚しても、
結果はすべて吉なのである、
と考える人が多いのです。

それゆえ、
お正月でもないのに、
運勢占を求めてくるとしたら、
「これは何かあるな」と思って、
お客さんに対さねばなりません。

実占をされる方は、
十分ご存知でしょうけれど。

扨て、
武隈先生の占ですが・・。

すばらしい易者の勘ですね。

(主婦の勘、みたいな。笑)

そして、
もし自分がその占者だったとしたら、
どのように占うかを考えてみました。

これは三変筮であるようなので、
小生なら純粋に辞占をするでしょう。

おそらく、
新たに事を起こすことはよろしくない、
勢いが強すぎて危険な運勢である、
破壊力が強過ぎるゆえに、
現状に順応しておるのがよい、
まずは信頼できる先輩に相談してみよう。

・・などと、
武隈先生とは異なった
アドバイスをすることでしょう。

しかし、爻辞に、
言を聞くも信ぜず。
とありますから、人の云うことなど、
聞かないのかもしれませんが。

27歳で、それも親の勧めで、
歯科衛生士の学校に通いだした、
という点も気になります。

27歳まで、
フラフラしていたのか。

そして、今度もまた、
辞めたくなったのだとしたら・・

など、など、
思いを巡らしていると、
小生には、夬卦の一陰が、
この女性のように思えたのです。

お山の大将で、
云い出したら聞かない、
女性なのかな・・と。