易経には「貞凶」という句があります。
貞(ただ)しいのに凶だというので、
納得のいかない人もあるようです。
こう考えてはどうでしょう。
大率(おおむね)、
中は正よりも重く、中なれば則ち正なり、
正は必ずしも中ならざるなり。
(程傳)
易は「中」を重んじます。
そして、
中であれば必ず正なのだが、
正であっても必ずしも中でないことがある。
よりて、「貞凶」は、
中でない正なのであると。
制限速度50km/hの道を、
51km/hで走っているからといって、
「お前、速度違反だ!!」
と怒鳴り散らす親爺と一緒です。
主張は確かに正しいのですが、
中(ほどよき)を逸脱しているために、
世のバランス、調和を失うわけで。
いついかなる場合にも、
頑なに正しさを貫くのは、
かえって凶を招くことになる。
これは世の常。