不恒其徳。或承之羞。
貞吝。── 恒、九三
この爻は、
ごくごく簡単に云えば、
恒常不変の卦にあって、
巽体☴の上は巽の最も悪い面が出る、
というのです。
説卦伝曰。
巽為進退、為不果、
為近利市三倍、其究為躁卦。
すなわち・・
よろめく。
軽挙妄動する。
貞操観念が薄い。
道徳心に欠ける。
恒(つね)の徳が保てない。
ぷいっと会社を辞めちまう。
信念なく損得で動く。
・・など、など。
爻辞の「羞」は、
みっともないくらい凶である、
と云ってもよいでしょう。
× × × ×
「不恒其徳。或承之羞」は、
論語・子路篇にも出て来ますから、
そちらも参照のこと。
以下は、
論語の一論点ですが、
参考として。
「其の徳を恒にせず。或ひは之に羞を承む」は『論語』子路篇にも見える。これは、このようなことばが古くから伝承されていたので、孔子がそれを引いたのであって、必ずしも易のこの爻辞を引いたのではないと主張する学者もあるが、孔子が易の爻辞を引いたのではないという積極的理由は何もない。孔子が易の爻辞を引いたとみても差し支えないと思う。
(鈴木由次郎)