昔の『会報』を見ていると、
「易占心得いろはカルタ」なるものが、
ありました。
紀藤元之介氏発行の、
『実占研究』からの抜粋だそうです。
なかなか有用、
そして名文章なので、
転載させてもらいます。
× × × ×
い 一に問訊、二に問訊
ろ 論より証拠、厳しい実占
は 初めジックリ、あとガッチリ
に 苦い薬も、時には飲まそ
ほ ほだされて、兎角しがちな甘い判断
へ 変爻しっかり動きをつかめ
と 問われても死期は答えぬ占者の心得
ち 中筮の値打ち出るのは、入り組み占的
り 両方の話聞かねば判断できぬ
ぬ ぬすっとの名指し、避けたい失物占
る ルールは守れ、占断方法
を 岡目八目、指し手が分かる
わ 別れタイとは、別れトミナイ
か カンを養え、易占修行
よ 予・師・萃・小過に否は、お墓
た 大所・高所で判断くだせ
れ 廉価易占、格おとし
そ それぞれ持ちたい自分の易風
つ 常に精進、高めよ教養
ね ねらえ占的、わき見は無用
な なんでもない占、かえって名占
ら 落胆に勇気与えぬヤブ易者
む 向こうの取り持ち、占者のしごと
う うるさい問題、分占でくずせ
ゐ 居合抜くよな、筮竹さばき
の ノリヅケ占では、動きがとれぬ
お 抑えて物言え、結婚吉凶
く クドクド言うより答えは簡潔
や ヤナギの下のドジョウ占法
ま マトを絞って総合判断
け 結婚占は可否・成否
ふ 不変の時に真勢易占法
こ こやせ眼識、磨けよ識見
え 枝木つかまず幹つかめ
て 手軽な易占、せぬが易占
あ アテル易よりドウスル易を
さ 三変筮は爻辞中心
き 決めつけて後は存ぜぬ迷占家
ゆ ゆらぐ占断、占的ずらす
め めぐる因果は、供養で払え
み みつめる算木にカナメが浮かぶ
し 初爻陽変、明るいキザシ
ゑ 酔うてはいけない、占考違反
ひ 秘密漏らすな、占者のたしなみ
も もう一押しが、優れたヨミに
せ 整理大切、筮前審事
す 捨てよ、捨て捨て取象の心得
ん ンとキバッて易に精進
× × × ×
一フレーズ、一フレーズ、
相当のレベルの人でないと、
書けない文句です。
これは私見ですが、
易名人の方々は、
皆、風流で文人風であり、
言語感覚に優れた人が多い。
文章をよくする人が多いと思う。
算木上、ぼんやり漂う、
象という異次元の世界を垣間見、
それをうまく言語化するのだから、
当然と云えば、当然なのですが。