ビギナーズ・クラシックス 中国の古典
三浦國雄 著『易経』
角川ソフィア文庫
× × × ×
この本で易占をするのは、
入門者には難しいと思います。
たとえば、
同書によれば、
明夷の卦辞はこうなっています。
明夷。艱(なや)みの貞(と)いに利(り)あり。
明夷。艱難のことを占ってこの卦に遇えば、よいことがある。
彖伝の解説があればまだしも、
同書にはそれもないのですから、
(たとえあっても入門者には難しいでしょうが)
この解釈で占ってしまっては、
判断を誤ることになる。
晋と明夷は昼夜の交代ですから、
明夷はやがて晋になるとは、
いえるのですが。
この卦辞の「貞」を、
原義である「卜問」とはとらずに、
「明夷の艱貞」と従来通りに読んだ方が、
占としては有用であると思います。
(しかも深い)
三浦先生の本は
「繇辞*の原義に帰ろうとしている」
ものだからです。
*ちゅうじ。卦画とはあまり関係のない古い占いの言葉。
しかし、
明夷の卦意・卦象を見れば、
「よいことがある」とは、
現代においては誰も占わないと、
思うんですけどね。