地火明夷の六爻を総論すれば、
以下のようになります。
蓋し離の体を至明の徳となし、坤の体を至闇の地となす。下三爻は、明にして闇の外に在り、故に遠近高下に随つてこれに処すること同じからず。六四は柔正を以て闇地に居りて尚浅し、故になほ以て意を遠去するに得べし。五は柔中を以て闇地に居りてすでに迫る。故に難を内にし志を正しくして以てその明を晦ますの象となす。上なれば則ち闇に極まれり、故に自らその明を傷りて以て闇に至りて、又以て人の明を傷るに足る。蓋し下五爻を皆君子となし、独り上の一爻のみを闇君となすなり。
(朱子の本義)出典:新釈漢文大系 易経
一卦においては、
上の坤闇が下の離明をやぶり、
六爻においては、
上六の闇主が下の五つの爻の明をやぶる、
とそんなふうに見ます。
下三爻は皆やぶられますが、
上六との遠近、位の上下の違いによりて、
明夷の時の処し方が異なる。
四、五爻は、
坤の一体なので、
上六の闇主の許(もと)にあって、
いわば闇主の身内として、
明夷の被害を蒙りますが、
四は柔正なので諫(いさ)めたり争ったりせず、
上とやや距離があるので遠くへ去って行き、
五は上と切に近いので現状に止まり、
自分の明を晦(くら)まし忍んでいますが、
心の中では明徳を保ち続ける。
・・と、
大略そのようであります。