山地剥。
本田渉先生は
このように述べています。
六十四卦の中でも一番悪い、剥という卦である。だれか友達に連れられて行った飲み屋の女将に、卦を立ててやったら、これが出て、「体の具合は悪くないか」 と言ったら、「実は非常に悪い」 ということだった。──易経講座
先生は剥卦を得て、
女将の健康運の悪さを言い当てていますが、
これはまぐれ当たりか、顔色が悪かったのか、
そうしたことだと思います。
易は固定占ではありませんので、
得卦だけで、
そのように確定的に判断することは、
無理だからです。
店が倒産する。地位を失う。
女将組合の会長に推薦される。
店を一旦たたんで再出発する。
建物が水没する。・・など、など、
どうにでも卦を読めるからです。
首吊り自殺・・なんて、
取象もできるわけで。
ということで、
「すべてお見通しよ」 的な占は、
安易に用いてはならないのです。
凡人は、
三変筮の可否占をすることで、
そうした解釈の曖昧さを回避すべきです。
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それにしても、剥卦が、
「六十四卦の中でも一番悪い」
というのはどうなのでしょう。
真勢中州氏などは、
此の坎(坎為水)は屯蹇困の三難卦を一つに合せたほどの険難至極の卦で、
と、云っておりますから。
しんどいのは、坎か、剥か。
こういうのに正解はなく、
占者各人の判断(実感)でよいと思います。
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不利有攸往。──剝卦、彖辞
この卦の彖辞には、
可否占の答えが記されています。
すなわち、
「利ろしからず」 と。
この卦を得たら、基本、
進んではいけない時です。