大岳氏の(戦前の)占例です。
「電話の売物が出たので、それを購入しようかと考へてゐるが、
どうであらうかといふお尋ねを受けたのです」
典型的な可否占です。
しかし、氏は、
三変筮を用いずして、六変筮によりて、
雷地豫の不変を得ております。
まだ筮法につき、
明確な考えを持たなかった頃の、
占なのでありましょう。
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「外にある震の電話を買ひ入れて内に易位すると復になつて、復は 『かへる』 とするので又手離さねばならなくなるから買はない方が無難である。さういふ見方も出来ないことはありませんね」
氏はいの一番に、
このような前振りをしましたが、
そのような見方はせずに、
「早速買つた方がよい、直ぐに買ひ入れなさい」
と占断しております。
「その理由は非常に素直ほな占考からです」 と。
【氏による占考】
- 雷の地上に奮ふのは、大いに時を得て発展するといふ意味である。
- 彖に 「侯ヲ建テ師ヲ行ルニ利ロシ」 とあるが、この侯を電話としてもよい(侯=震の象=電話 だからです。ブログ主)。そして侯であり電話である九四は 「由リテ豫シム」 で、これに由って悦びがもたらされるのだから、是非買った方が良い。
- 電話の九四が一卦の主となって働いてくれる。
- 震を速やかとし、豫は時を尊ぶ卦なので、早い方が良い。
・・というわけです。
この占で小生が面白いと思ったのは、
大岳氏の次の文章なのですが、
それを引用して参考に供したいと思います。
「占法を説く際に私は相当に複雑なことを申上げますが、
実占に際しては、かういふ複雑さをちやんと胸の中に
入れて置いて、その複雑さの上に立つて
素直な易簡の易を用ゐるといふことも大切だと思ひます。
(何も知らないからの易簡では困りますが)」
典拠:易学大講座