「新釈漢文大系 易経」の良さは、
古の易学者の註釈を、
お手軽に読める点にあります。
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たとえば、
風山漸の五爻の爻辞は・・
鴻漸于陵。鴻、陵(オカ)に漸む。
婦三歳不孕。婦(ツマ)三歳まで孕まず。
終莫之勝。吉。終(ツイ)に之に勝つことなし。吉。
・・ですが、これに対する、
同書の【語釈】には、
このような引用文があります。
程伊川の師、胡瑗(こえん)は、
『大阜(だいふ)を陵といふ、
これ岡阜(こうふ・おか)の最も高きもの、
又木(六四)よりも高し。
九五、漸にして位を得て上体に至るは、
これなほ鴻の高阜(高いおか)の上に
漸むがごときなり。
婦は六二を謂ふ。
五は二と応をなせども、
三・四の邪配のことをなして
その間を間隔し、
己の路を塞ぎ往きて相従ひて以て
生育の功を成さざらしむるなり。
然れども五と二とは、もと正応をなし
皆中正の徳あり、誠にして以て相待ち
その心志(しんし・こころざし)怠らず、
三・四邪僻(じゃへき)の人
その路を間(へだ)てんと欲すと雖も、
然れども終(つい)に之に
勝つこと能はざるなり』
と説く。
こういう文章を、
じっくり、
(声に出してもいいでしょう)
繰り返し読んでいると、
爻辞の理解が深くなり、
ひいては、
易の理解が深まるのです。