高島嘉右衛門の占です。
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呑象翁の知人が盗難に遭った。
知人が云うのに、
「賊は倉庫を破り物品を盗んだが、
勲章と礼服は私にとっては貴重だが、
賊にとっては困りものだろう」
ということであった。
翁、試みに筮すると、
大壮の上爻を得た。
断に曰く・・
大壮は、
剛壮なる賊が倉庫を破る象である。
(四陽が坤の倉庫に押し入る)
【注】高島氏は必ず卦から読み始めます。
マクロからミクロへとつかんでいく。
真似すべきです。
賊は慌てて盗みを働いたが、
邸を出た所で盗品を見るに、
勲章と礼服は売るに売れないし、
自ら着用するのも不便である。
といって倉に戻すのも煩わしい。
これ困却するの象であるが、
これを爻辞では、
不能退。不能遂。
しりぞくあたわず。すすむあたわず。
といっているのである。
また、
陰爻が陽爻に変じるゆえ、
盗品は必ず発見されるから、
勲章と礼服のごときは、
近くの垣根に掛けられていると解される。
それを辞では
觸藩 まがきにふれる
というのである。
すぐさま知人が、
家従に捜索させたところ、
翁の云うように隣邸の垣根に
ぶら下がっていたという。
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おそらく、
人口に膾炙した占だと思います。
誰かの占例集にも載っていて、
読んだ記憶があります。
この通りに占って、
いいかどうかは疑問ですが、
有名な占ですから・・