中村文聰氏の占です。
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ある晩盗難があった。
その家の娘さんは、
盗品の出るか出ないかを
易占家に問うた。
文聰氏は布算し、
天山遯の三爻を得た。
氏は卦を読んで曰く。
- 内卦艮を蔵とし、その主爻の九三が動いているところから、 蔵を破られたのだろう。
- 大巽の象より、盗られたものは女物の着物である。
こう云うと、
娘はそうだとうなずく。
- 艮下乾上は遠くに持ち去られた形なので、近くを手配してもだめ。出ることはないだろう。
それ以後、
手掛かりを得ることもなく、
盗まれた着物は勿論、
犯人の捕まることは
なかったとのことです。
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我々の注意すべきは、
- 蔵を破られた。
- 女物の着物。
は卦から読み取るのではなく、
筮前の審事として、
娘さんから聞いておくべき話、
ということです。
お間違えなきよう。
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(補註)
「艮下乾上は遠くに持ち去られた形」
☰
☶
艮の門外に陽の逃れてゆく象。
乾は「遠く」です。
失せ物占、家出人占における、
基本的な見方です(「易入門」参照)。