三変筮(略筮)で立卦して、
「水雷屯の三爻変を得ました」
などと、云う人がいます・・
× × × ×
以下の引用文は、
三変筮における一つの論点で、
易占を嗜む者ならば、
一度は考えてみる必要が
あると思います。
出典は、
易─占法の秘伝 p.206 ですが、
大岳先生の講演(昭和52年)を、
柳下先生が文字起こししたものです。
三変筮法では、必ず爻の位を、
それも必ず一つだけ得る仕組みに
なっています。例えば
風山漸の三爻を得たとか、
地山謙の二爻を得たとか、
そのように一つの卦と、
一つの爻を得ます。
その三変筮における爻をひっくりかえして
陰なら陽にする、陽なら陰にする、
そうして変卦または之卦と称する。
しかしそういうものを表わすことが
果たして妥当かどうかという
問題があると思うのです。
(加藤大岳)
これについては、
各人がようく考えて、
自分の結論をもつべきです。
以下に、
当ブログの考えを述べます。
× × × ×
三変筮は、
必ず一つの爻位を得る
「仕組み」になっています。
三変筮においては、
第三変によりて、
1・2・3・4・5・6 から、
必ずひとつの数を求めます。
この数字は、
本筮法のように
老陽、老陰を示すものではなく、
中筮法のように
乾、坤を示すものでもありません。
したがって、
その数字は必ずしも、
「変」を示してはいないのです。
三変筮という筮法は、
積極的に爻を変ずる「仕組み」には、
なっていないのです。
もし変ずるというなら、
それは人為的に変じているに
すぎないのです。
必ず「一爻変」である、
という点も問題です。
不変卦は出て来ませんし、
変化の範囲も限定的であるし、
その不十分感は否めない。
そもそも、
三変筮において、
常に「之卦」が現れるという、
合理的理由はあるだろうか。
もし、
「変」を重視するというなら、
はじめから中筮法もしくは
本筮法によればいいではないか。
三変筮という筮法は、
卦から卦への「変化」ではなく、
それとは異なった、爻位、爻象、
即ち爻辞にポイントを置いた占いで、
(易経に準拠した占いで)
中筮法や本筮法とは本質的に
異なる筮法なのです。
そう考えた方が、
はるかに合理的です。
そして、
三変筮において、
爻をひっくり返すのは、
その爻の裏に隠れている
「含み」を見ているに
すぎないのです。
その「含み」を
大岳氏は「伏卦」と
称しています。
伏卦は、
未来を示すこともあれば、
過去を示すこともある、
教えや原因や理由、周囲の状況・・
を示すこともある。
しかし、
ひっくり返す前の爻の吉凶を
決して覆すものではない、
そんなふうに取り扱うのです。
ですから、
占ったことの吉凶は、
原則として、
得られた爻の状態や爻辞に
よってなされるのです。
すなわち、
占的を可否、成否に絞った場合の、
易経に準拠した吉凶占を
三変筮であるとするのです。
これが、
当ブログの考える、
三変筮法です。