易経を読むブログ

易占目的の ブログ ですが「易経を読む」と謳っているのは、易占に易経は不可欠であるという考えからです。「有料記事」は知っておくべき六十四卦の見方や占例を記してみました。無断転載禁止。

牖よりす

坎の六四には、
「牖(まど)」が出て来ますが、
これは論語にも登場します。

爻意との関連は別として、
面白い文章なので読んでみます。

伯牛(くぎゅ)、疾(やまい)あり。
子()、これを問い、
牖(まど)よりその手を執()る。
曰(のたま)わく、
これを亡ぼせり、命(めい)なるかな。
この人にしてこの疾あること、
この人にしてこの疾あること。
(岩波「論語」p.111)

ぴちぴちとした名文だと思います。

モダニスト西脇順三郎老人も、
論語文章の文学性を語っていて、
「世界文学クラス」
と称賛しておりました。

訳も引いておきます。

伯牛が病気になった。
先生が見舞われ、
窓ごしにその手を取られた。
「おしまいだ。運命だねえ。
こんな人でもこんな病気にかかろうとは、
こんな人でもこんな病気にかかろうとは」
金谷治/訳)

孔子は、
命(運命)については、
めったに言及しなかったそうですが、
ここでは云っている。

その点も面白いし、
とても深い感じがします。