小生が周易の勉強を始めた頃、
易の研究会で、以下のような
占例を検討しました。
× × × ×
相談者は大学講師の男性で、
「別居中の妻が離婚を望んでいる」
というのです。
(詳細は割愛します)
夫の方は、
「離婚したくない」
ということでした。
占者は、
「夫婦の成行き」を占的として、
帰妹 之 夬 を得ました。
× × × ×
研究会の席で、
小生の発表した占考は、
このようでした。
帰妹は、
不正常な結婚生活である。
不倫問題が、
隠されているのではないか。
それは、
夫婦円満であった泰が、
崩れ始めた結果である。
現在は、
否に向かう過程である。
すなわち、
離婚に至る途中である。
之卦の夬は、近い将来、
離婚を決断するのであろう。
× × × ×
偉い先生の占考はこうでした。
帰妹 之 夬
☳ ☱
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「まだ、当分、別れられませんね」
先生は、
のどにかかった低い声で、
こう云ったのでした。
先生の判断理由は、
このようでした。
本卦の帰妹は、
(正しい夫婦関係ではないにせよ)
男女がくっついています。
之卦の夬を見ると、
未だ一陰が残っており、
ふたりの間には、
まだ情があるのです。
この夬では、
結婚生活は完全には壊れておらず、
まだ別れられないのです。
もし之卦が、
乾為天であったなら、
きっぱり別れてしまうのですが。
最後に、先生は、
このようなアドバイスをされました。
「この占は、三変筮によって、
離婚の可否を取るべきです。
この女性と一緒にいて、
幸せになれるのかどうか」
× × × ×
「すごい読みをするものだ」
初心者であった小生は、
目を白黒させました。
そして、
上級者による真反対の占考を聞いて、
自分の硬直的な占を恥じたのです。