パラパラ、易経を眺めていると、
これがナカナカ、面白い。
地天泰の三爻に、
平陂(へいは)とあった。
平らな土地が陂(かたむ)くのである。
対して、
天地否の上爻には、
傾否(けいひ)とある。
否の状態が傾くのである。
泰も、否も、
いずれ極まって傾くのであるが、
「傾く」とは、何と
宇宙的な表現なのだろうと、
そのスケールの大きさに驚嘆した。
三も、上も、
極まるところではあるけれども、
泰が決定的に傾くのは、
落城の象である上爻のはずである。
それを、早くも
三において述べているのである。
まだ完全には傾かない、
三爻において、
将来の転覆を警告している。
泰、否が、
やがて傾くのは、
易の理であるが、
安泰の方は三爻において、
早くも乱を述べてあるのは、
いかにも易経的な老婆心であると、
愚生は口角を上げて
ニンマリしたのであった。