乾為天・九二の文言伝に、
見龍在田、時舍也。
とあります。
「舍」 は、
とどまる。すつる。やどる。
・・などと、読みます。
この 「時舍也」 について、
以前から不明でしたので調べてみました。
「新釈漢文大系 易経」 から引いてみます。
時に随つて止まるなり(程伝)。
未だ時の用とならざるを言ふなり(本義)。
時舍とは、時止まれば止まるをいふ。君子はまさに時に随つて止まるべければなり。乾の六爻は、徳を以て言へば則ち皆君徳なり。位を以て言へば則ちただ九五のみを君位となし、余は皆臣位なり。九二に人に君たるの徳ありと雖も、然れどもその時は臣となせば、則ちまさに臣位に安んずべし。故に曰く、見龍在田、時舍也と(兪琰)。
二爻は、
まだ時を得ていないので、
時に随って止まっていなさい、
ということのようです。
中を得ているのに、
時ではないとは、どういうこと?
と、思ってしまいます。
兪琰は、
二爻は君主たるべく立派な人物であるが、
まだ位が低いのである、
というようなことを述べています。
易は爻位を重んじます。
五爻が五十代の首相ならば、
二爻は二十代の初当選した議員なのです。
二爻は下卦ですから、
まだ未完成で、準備期間、現場の実務担当者、家来・・
という位地にいるのです。
というわけで、
「ワア、才能あるぅ」 なんて褒められても、
ウヌボレないで、
今のポジションをしっかり守っていなさい、
と、そういうところなのです。
乾以外でも、二爻というのは、
運気としては良好と云えるけれども、
(責任爻でシンドイということもある。泰二爻など)
何でも好きなように進んでよいわけではなく、
むしろ現状の良さを守っていなさい、
そういう占になることがあるのです。
易経を読んでない人だと、
真逆の可否占をすることがあるので、
ご用心!