敦臨。吉无咎。(臨上六)
この辞に対する、
長井金風氏の註釈を見てみましょう。
敦臨の言は、猶敦艮のごとし、艮を看よ、臨の言は霖なり、霖雨は淫雨なり、咸といひ、甘といふ、大君の敦以てこれに臨むにあらざれば、天の道を正すに足らざるなり、天の道とは陰と陽なり、坤は母たり、故に志は内に在りといふなり、内とは下卦なり、下卦は兌、少女たり、
(「周易純束義」)
敦の解釈は通説だと思います。
臨を霖(ながあめ)としているのは、
聞一多氏の説と同様です。
そういえば、敦。咸。甘。
これは韻を踏んでいますね。
それと、淫雨。咸。甘。
これらの語感は、ちょっと艶めかしい・・。
雨は陰陽が交わって
降るのですし。
天の道とは陰と陽なり。
これにはハッとさせられました。
たしかにそうです。
余談ですが、
天の法則性、陰陽の消長は、
実に神秘的ですね。
志は内に在り。
これは象伝についていっています。
金風氏の説は、
その多くは難解ですが、
ここはめずらしくわかりやすかったので、
参考のために載せてみました。