地水師は軍事の卦です。
その卦辞に「師は貞」とあって、
古人はこう説いています。
師は貞、貞は正也で、
軍を起すには名分正しきが第一だ。
無名の師はよし勝つたにしても、
後害を残すものである。
貞は又「大事をとる」義あり。
孫子開卷の劈頭(へきとう)に
「兵は国の大事。死生の地、
存亡の道、察せざるべからず」
とある通り、真(まこと)に一国興廃の
岐(わか)るる所だから、
軽挙は尤も戒めねばならぬ。
「師貞」の二字、
如何にもおごそかに読まれる。
兵は凶器ですから、
やむを得ない場合に限って、
用いられるべきです。
䷆
卦体を見ると、
軍隊を指揮する二爻が剛中で、
出陣を命ずる五爻は柔中である。
君主が柔中であるところに、
易の深さが見られるとおもう。