「赤と黒」でも「パルムの僧院」でも、
主人公は “前兆” というものに、
強く惹かれる傾向がある。
作者のスタンダール自身が、
そういう人物だったのだろうか。
小生は、
次のような文章に魅せられるのですが、
しかし明確に理解できるとはいえません。
こういうわけで、ファブリスは聡明ではあったものの、
その前兆などをとかく信じたがる性質は、
彼にとっては一つの宗教、人生の入口でうけた
深い印象だということをさとらなかった。
そういう信仰のことを考えるのは、感じること、
一つの幸福だった。
(「パルムの僧院」生島遼一 訳)
この文章は、
心に留めておいて、
じっくり考えてみようと思う。
ところで、
引用文のファブリスにラテン語を教えたのは、
グリアンタの司祭であるブラネス師ですが、
彼は占星術師でもあるのです。
昼間、星の会合と位置との計算にすごすと、
夜の大部分はその星の動きを空に
見さだめるのである。・・中略・・
土地の百姓たちは、ブラネス師は
大魔術師だといってこわがっていた。
(同上)
なんか、こういう天体観測をする老人を描いた、
絵画があったような気がしますが、
ハテ、誰でしたか。
スタンダールは、
コレッジョなどの絵から、
人物を創造することがあるので。