「失われた時を求めて」は、
どの翻訳で読んでも一長一短です。
現在のところは、
岩波で読んだり、
はたまた光文社だったり、
その時々の気分に応じて、
読んでいます。
紙面や活字などは、
光文社に軍配が上がりますが、
「すこぶる」を多用していたり、
その他文学ちっくな語彙を
用いている点は肌に合わない。
(小生の趣味です)
でも訳者の高遠弘美氏は、
いい先生っぽくて好感が持てる。
いく種類かある、
「失われた時を求めて」の
翻訳文を掲げてみます。
× × × ×
お嬢さまは今夜は
ひどくいやらしいことを考えているようね。
(ちくま文庫 井上究一郎 訳)
今晩のお嬢さまは、なんだか
いやらしいことを考えてらっしゃるようよ。
(集英社文庫 鈴木道彦 訳)
お嬢さま、今夜は、
ずいぶんいやらしいことをお考えのようね。
(岩波文庫 吉川一義 訳)
お嬢さまは今晩、
とってもみだらなことを
考えているようにわたし、
思うんだけど。
(光文社古典新訳文庫 高遠弘美 訳)
今晩のお嬢さま、なんだか、
ひどくいやらしいことをお考えのようですわね。
(PHP 鹿島茂 訳)
× × × ×
そんなに違いのない箇所ですが、
鹿島先生の訳が、一番、
い・や・ら・し・い……かな。
最も淑女っぽいから?