結婚の「可否」を筮して、
大過の四爻を得たとしませう。
爻辞には、
棟隆。吉。有它吝。
とあります。
× × × ×
辞を見て、
「吉だから大丈夫。頑張れます。
ただし、ヨソ見はしないでね」
などと占う人もいるでしょう。
大岳氏はこう云っています。
婚姻は少しむづかしいが、
真面目に、熱心に気力を集注して
務めれば成るでせう。
(易学大講座)
爻意と伏卦とをもって、
占考しておられます。
× × × ×
小生なら、
「この結婚は見送った方がよい」
と、判断いたします。
苦労することが、
目に見えているからです。
ところで、
大岳氏の文章は、
結婚の「可否」ではなく、
結婚の「成否」に対する、
答えです。
「この人と結婚していいか?」
ではなくて、
「この結婚は成就するか?」
を占った場合の、
ひとつの占考例です。
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ところで、
爻辞の「它」字ですが、
原義はへび(蛇)の象形(説文)
なんだそうです。
(新釈漢文大系「易経」)
たしか、
大過の画象には、
☱
☴
蛇が絡まって離れない象(かたち)、
というのがありました。
だとすれば、ここには、
辞と象との関連が見られます。
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また、
蛇は人の恐れるものですが、
「有它」を思いがけない災難として、
解する学者もあるようです。
『易』の「有它」はすべて
不吉の象(『新証』)。
「它」は蛇から転じて、(中略)
思いがけぬ災難(『古経』)。
(三浦國雄「易経」)
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たとえば日筮が、
大過の四爻だったとします。
道を歩いていて、
へびに出くわした。
すると、それは、
不吉な兆しである・・と。