こんな受験生を占うとします。
× × × ×
大学在学中から司法試験を受け始め、
試験に落ち続けて、年齢は
30歳目前であるとします。
今度落ちたら、
田舎に帰って実家の農業を継ぐ
つもりであると。
因みに、
模擬試験の合否判定は、
常に合格圏内にあるとのこと。
合否を筮して、
坎為水の第三爻を得ました。
爻辞に曰く、
来之坎坎。険且枕。入于坎窞。勿用。
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ふつうならば、
“不合格” と断じるでしょう。
坎、また、坎で、
同じことを繰り返す象であり、
爻辞もよろしくないですから。
しかし、
この得卦で “合格” と、
判断することも可能なので、
この例題を作ってみたのです。
まず、
占的が法律関係なので、
坎卦が得られたと考えます。
重卦が得られたのは、
長い苦しい受験生活を示していると
考えてもよいでしょう。
さて、
実力は合格圏内とのことなので、
合格の兆しを卦に求めてみます。
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卦の “形” にそれが見て取れます。
二~五爻に、
離に似た枠(わく)があって、
得た爻はその枠内に入っている。
すなわち、
合格という栄誉を勝ち取り、
法律家の枠内に入る象であると
見ることが出来るのです。
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「難卦だから凶である」と、
単純に判断してはならないことが、
おわかりになるでしょう。
しかし、
だからといって、
坎の三爻を得て、
常に “合格” と占ってしまっても、
これまた浅はかです。
このあたりを、
どう上手に判断するか。
そこが、
占者の実力というわけですが、
合否を判定することは、
占者にとって、実に、
悩ましい問題だと思います。
「合否の判断は難しいですから、
目安として用いるべきです」
柳下尚範先生は、
そうおっしゃっています。