日昃之離。
不鼓缶而歌、則大耋之嗟。
凶。
── 離、九三
日昃(かたむ)くの離。
缶(ほとぎ)を鼓(う)ちて歌わざれば、
則ち大耋(たいてつ)の嗟(なげき)あり。
凶。
某易占家は、
この爻の占につき、
「日昃之離だけでわかってしまう」
と云っていました。
ニッソクノリ、だけで・・。
× × × ×
歌うとか、嗟くなんてのは、
占においては、
「おまけ」と考えておいて、
よいのです。
日が沈んでいく時の弱弱しい光。
やがて日は没するのだ。
これだけで占えるからです。
× × × ×
詩的、思想的な解釈を、
覘いておきますと・・
どうせ人生の日も沈まうとしてゐるのに、
今更ら嗟いてみても仕方が無いではないか。
それよりも缶を鼓して歌ふ楽天知命の
境地に至つた方がよいではないか。
(易学大講座)理を以てこれを言うに、
盛んなれば必ず衰えることあり、
始まれば必ず終わることあり、
常道なり。
達者は理に順うを楽しみとなす・・
(程伝)
老年は安楽であれ。
運命に身をゆだねる境地。
道理に順(したが)うを楽しみ、
天命に安んじておれ。・・
と、まあ、
こういうことですが、
凡人はなかなか
こういうわけにはゆかぬ。
なので、
ストレートに凶占として、
占うこと多し。
日昃之離。・・凶。
と。