昨夜、
赤と黒(上)の最後の章、
ジュリアン・ソレルがレナール夫人の部屋へ、
梯子をかけて忍び込む場面を読む。
情事と云えば、情事だが、
なにか個人の力ではままならぬ社会にあって、
現実を超えたところの超現実というか、
夢の世界、幸福の世界というか、
現実のこの世にはない芸術の世界を
見ているように感じた。
これは、
文章の書き方によって生ずる、
効果なのかもしれない・・
松原雅典先生によれば、
「危険な関係」とそっくりな台詞、
「ドン・ジュアン」と「フィガロの結婚」を
混ぜ合わせたようなシーンがあるという。
スタンダールはそうした、
読書体験から得た興奮を、
より高い次元に昇華している。
今日からは下巻だ。
ゆっくり行こうぜ、日本。