風山漸の彖辞には、
「漸女帰吉」とあって、
女の帰(とつ)ぐ話が出て来ます。
それはなぜか?
婦人謂嫁曰帰。
天下之事、惟女帰為有漸。
納采、問名、納吉、納徵、請期、親迎、
六礼備而後成婚。
是以漸者莫如女帰也。
(来知徳)
婦人の嫁するを謂い帰ぐを曰う。
天下の事、ただ女帰ぐのみを漸有るとなす。
納采、問名、納吉、納徵、請期、親迎、
六礼備わりて後、婚を成す。
ここを以て漸は女帰ぐにしくはなきなり。
「納采、問名、納吉、納徵、請期、親迎」は、
結婚をする際の六つの礼です。
結婚。
うれしくて心急(せ)くのではなく、
六つの礼にしたがって、
ゆるりゆるりと段取りをふんでゆく。
それが「漸」だというのです。
䷴
卦の象で云えば、
漸は艮門の外へ巽女が出てゆく象。
(すなわち女の帰ぐ象です)
また交易卦という観点からは、
否の六三(陰)が四爻に帰いで漸になった、
という見方も出来ます。