「中国古典名言事典」講談社学術文庫
同書の「易経」の項に
こんな文言がありました。
章 を含んで貞 にすべし。
力量才能があっても、
それを決して表面に出さないがよい。
坤為地 六三の爻辞です。
坤卦は家来の道ですから、
たとえ優秀であっても、ウヌボレて、
能力をあらわにしてはいけないと
いうのです。
能ある鷹は爪を隠す。
智に働けば角が立つ。
・・というのでしょう。
名言を味わうだけなら、
これでよいのですが、
易をちゃんと読むためには、
「陰柔不中正」ということを、
考慮しなければなりません。
すなわち、
下卦の極にあって、
タチの悪い陰柔不中正爻なので、
自己を誇って傲慢に振舞うんだよね、
こういう人は。
章(あや)を含むどころか、
自分の能力をひけらかしたがる。
まだ家来のくせに。
陰柔で、愚かなために、
謙遜しておれないんだよね。
(伏卦の地山謙に反す)
こういうことを頭に描いて、
易を読まねばなりません。
「今は黙って人に仕えておれ」
そういう時です。