ボードレールにしては
わかりやすい詩です。
引用:
夜もふけていた。まあたらしいメダルのように
満月が空にかかっていた、
そして夜のおごそかな気配が、河のように、
眠るパリの上を流れていた。
家並にそって、表の戸口から戸口の下を
猫どもがこそこそと伝い歩いて、
耳を立てたり、あるいはまた、親しい影のように、
ゆっくりとついて来たりした。
:引用終り
(安藤元雄 訳「告白」より)
満月を
「まあたらしいメダル」
に譬えているのは、
硬質の美ですね。
猫の描写では、
「耳を立てたり、あるいはまた、」
のところで笑ってしまいました。