易経を読むブログ

易占目的の ブログ ですが「易経を読む」と謳っているのは、易占に易経は不可欠であるという考えからです。「有料記事」は知っておくべき六十四卦の見方や占例を記してみました。無断転載禁止。

莫・惕の字義

夬の二爻に「莫夜」とあります。

新釈漢文大系 易経 には、
この「莫」の字義が述べられていて、
おもしろいので引用してみます。

「莫」は音「暮」()で、暮(くれ)の本字。
艸と艸との中に日が没したことを示す会意文字。
日が暮れてなくなる義より転じて、
「なし・くらし・なかれ」等の義に用いられるに及び、
更に日を加えて「暮」とし「日が暮れる」の義とした。

「莫」という字は、
草と草の中に日が沈むという、
会意文字のようです。

なんで海とか山に沈まないのだろう、
と思ったりもしますが、*1
草の中に太陽が没してゆくイメージは、
シュールレアリスムのよう。

また、
夬二爻には、
「惕」字が出て来ます。

おそれる、です。

そして、
惕は乾の象なのだと。

云われれば、惕は、
乾為天の三爻にもあった辞。

古い易書には、
「易を一文字で表現すれば、
 それは『惕』である」
という記述があります。

「惕」を知れば、
易は卒業なのであると。*2

つまり、
乾を知れば、
(天を畏れるということを知れば)
易はわかったも同然なのです。

このように、
易辞の一文字というのは、
深い意味を含んでいることがあり、
ゆるがせにはできません。

*1:それだけ大草原なのでしょうか。

*2:因みに論語には「天命を畏れる」という文句があります。