火沢睽の象意につき、
新井白蛾はこう記しています。
此卦は人心相そむき違ふて事を成しがたし。
然れども学者などよい時として大吉ありとす。
(易学小筌)
前段に異論はないのですが、
後段がずうっと謎でした。
つまり、
「学者にはよい」の根拠は
何なのだろうと。
以下、
小生の考えたもの。
- 説而麗乎明と彖伝にある。説んで明に麗く。これはこの卦のよい徳。したがって、物事を明らかにする学者には吉である。
- 睽小事吉と卦辞にある。周易述義曰く「大事を集(な)すには衆を貴ぶ。小事を弁ずるには独を貴ぶ。衆なれば則ち必ず其の同じからんことを期す。独なれば則ち異なるを妨げず」。学問のような独りでする小事であれば、「背く」「異なる」という卦も、さして妨げにはならない。
- 「背く」という卦意は、俗世間に背いて象牙の塔にこもる学者には、むしろふさわしい。背いて用をなす卦である(彖伝参照)。
とりあえず、
これだけ述べておきます。