咸の九三は、
従ってはいけないものに
従ってしまう爻ですが、
この従ってはいけないものを、
- 上六とする説 (岩波易経)
- 六二とする説 (易学大講座)
・・その他があります。
前者は、
程伝によっていると思われますが、
この三爻のことを、
兌悦の主である上爻に感じて動く、
自主性のない爻と見ています。
後者は、
大岳説であり、
この三爻を、
正応の上六と感応せず、
比の六二を固執してそれと共に感じ動く、
下劣で卑しい爻と見ています。
ザックバランに云えば、
九三は、
応爻の上六に従うのか、
比爻の六二に従うのか、
という論点です。
「どちらを取るかは、
易者の判断でいいのです」
と易の上級者は云っていました。
両説押さえておいて、
筮前の審事によって、
その都度決めればいいと
いうのでしょう。
ただ、
六二説を知らなければ、
易学大講座の〈占考〉は、
まるでわからないことになります。