由頤。厲吉。利涉大川。
象曰、由頤厲吉、大有慶也。
── 頤、上九
丸山松幸先生の訳はこうです。
すべてのものを養い、頼りにされる。任重くして艱難が多いが、吉。大いなる喜びがある。大河を渡るような危険を犯しても、順調に行く。
(徳間書店「易経」)
なかなかよい訳ですが、
占に際しては、単純に、
これに当て嵌めて占ってはだめです。
「彼と結婚していいか」
を占ってこの辞を得たとしましょう。
(三変筮は可否を占う筮法です)
まず、
その彼が、
「すべてのものを養い、頼りにされる」
人物であるかをチェックします。
経済力とか。人格とか。
手に職とか。家柄とか。
もし、
「そんな立派な人ではない」なら、
爻辞のとおりに占ってはいけません。
卦極という「厲うさ」を強く見て、
伏卦が出て来て「出戻る」ことになるとか、
そんなふうに得卦を読みます。
また、
この爻を問占者の女性とすれば、
彼女が家族や一族の世話をすることとなり、
任重く苦労の絶えない結婚となります。
そうした苦労は覚悟のうえ、
というのでしたら、
それはそれでよいのですが。
まあ、
ふつうは、
避けた方が無難でしょう。
要するに、
爻辞の条件に適う場合に限って、
「大いに慶びのある結婚」
と、占考・占断するのです。
そして、これらは、
占者がその都度、うんうん唸って、
「自分で」判断せねばならない。
これが、
爻辞占なのです。