実占例を書くことの大切さを、
柳下氏はこう述べています。
易占に上達するには、自分が易占したことは、年月日、筮前の審事、占考を記録しておいて、結果が判明したら、それを記録すると共に、占考を再検討することです。これは大変効果があります。
(「易入門」)
占例を見れば、
その人の実力は一目瞭然です。
といって、
背伸びをして書いても、
ゴツゴツした不自然な占考になりがちで、
一朝一夕にはいかないのです。
コツコツ書いて、
積小以高大(升大象)の精神でいくこと。
書かなければ、絶対に、
書けるようにはなりませんから。
× × × ×
「易入門」に載っている占例などは、
入門者にとってお手本となるものでしょう。
一番最初の「失せ物占」を分析すると・・
- 筮前の審事を書く。
- 占的を「見つかるか」にする。
- 特に筮法は書いてありませんが、この本は三変筮の本です。
- 得た卦、得た爻を明記。
- 卦の意を占事にあてはめる。
- 卦の象、伏卦を見る。
- 「見つかる」と断じる。
× × × ×
- 「見つかる」ならば、次に「どこにあるか」を占う。
- 初心者は改めて「どこにあるか」で卦を取るのがよい。
- 柳下氏は新たに卦を取らずに、一卦で判断した。
- 「どこにあるか」を見るには、辞よりも象を重視する。
- 卦の象、爻の位置を見る。
- 結論を断ずる。
× × × ×
これらが合理的に書けておれば、
100点満点の答案となりましょう。
けれども、現実には、
何を占ったのやら、その占的でさえ、
はっきりしない占例が多いのです。
ただ当たったの、
易って深いなどと、
自画自賛するばかりで。
実際に自分で書いて、
読んでみればわかります。