書不尽言、言不尽意。──易経、繋辞伝
文字は言葉を尽くせない、
言葉は意味を尽くせない、と。
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もしそうなら、いくら易経を読んでも、
易の深意なんて知ることはできない
のではないか。
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繋辞伝は続けてこう云います。
それゆえ、
聖人は意を語り尽くすために、
三つの工夫をして易を作ったのだと。
- 八卦の象を立てて、意味を示す。
- 六十四卦を設けて 、易卦で真実と虚偽を示す。
- 卦辞、爻辞を繋けて、言葉を示す。
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すなわち、
易という書物は、
象。六十四卦。卦爻辞。
の三点セットによりて、
その深い真意を表現しているのです。
これは、易経が、
論語や詩経などとは異なる、
ちょっと特殊な書物である、
ということです。*1
ですから、
三変筮は爻辞占だからといって、
爻辞だけを読んで拡大解釈しても、
占筮によって示された真の意味は、
完全には読み取れないことになる。
易を理解している人なら、
誰に教わらなくても、
三変筮においては、得卦はもちろん、
得られた爻の、象や、意味や、位をも、
チェックしているものなのです。
易経が他の書物と全く異なるところは、辞の他に、その卦の象があることです。私達は、心に思うことを全部ことばでいい表わすことはできませんし、ことばを完全に文に表わすこともできません。
ところが、易は、辞によって意を汲みとるだけでなく、言外の意ともいいますか、深い真意というものを、この象によって汲みとることができるのです。
(柳下 「易入門」)
これは入門書からの引用ですが、
こういう文章をキチンと読める人は、
案外少ないようです。