随有獲。貞凶。(随九四)
大吉。无咎。(萃九四)
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どちらも臣としての最高位にいて、
陽剛の才があり、
権勢が盛んという爻です。
なのに、
随の方は貞凶といい、
萃の方は単純におみくじの大吉とは違って、
大いに善であれば、咎めなし、です。
なぜどちらも運気が盛んなのに
無条件の吉ではないのか。
これは五の社長を凌ぐ勢いであることに、
一抹の不安を易が見ているからです。
どちらも陽が陰位にいる不正爻ですし、
四は控えめであることを貴ぶ位地なのに、
権力、勢力が強過ぎるということで、
下剋上の危うさを見ているのです。
萃九四の象伝に曰く。
位不当也。
四の、盛運における危うさを、
位に当たらないからである、
と解説しています。
ここらあたりは、
儒教的な考え方が反映しており、
下位にある者はたとえ有能で時を得ていても、
身分にふさわしい慎みを固く守らなければならない、
と、そういう教えなのです。
易の某先生は、
このような上下の分を守るアドバイスがお好きで、
よくお客さんに説いていたといいます。